11月に入り、木々が色づく季節になりました。
こんにちは。
博多の不動産会社プレイングハウジングです。
今回のゲストはバーテンダーの坂井誠さんです。
坂井さんが働かれていた、「ニッカバー七島」さんにお邪魔しました。
ニッカバー七島 グルメデータ
ニッカバー七島(ななしま) | |
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所在地 | 福岡県福岡市博多区中洲4-2-18 水上ビル 1F |
TEL | 092-291-7740 |
営業時間 | 19:00~翌03:00 |
予算 | 3000円~5000円 |
昭和33年創業。中洲の老舗のバーであり、多くのバーテンダーを輩出しています。
どことなく古臭さ、温かさを感じられる酒場の中の「ふるさと」として、今でも多くの方から愛されるお店です。
マスターの七島啓(ななしまけい)さん。
ジントニック
ジンをベースにしたカクテルで、一杯目によく飲まれます。シンプルなカクテルですが、お店によって特徴が出ます。
モヒート
ヘミングウェイが愛したカクテルとして有名です。ラムをベースにしており、世代を問わず多くの方から愛されるカクテルです。
オールドパル
オールドパルとは「古くからの友達」という意味です。旧友と一緒に飲みたいですね。
ホワイトレディ
ジンベースのカクテルです。その名も「白い貴婦人」。女性の方に飲んでほしいカクテルです。
本日のゲスト
坂井誠さん(37歳)
2009年ヨコハマカクテルコンペティションで銅賞。銀座の名店「ガスライト」で修業した後、中洲の「ハートストリングス」を経て、「ニッカバー七島」に。
現在はバーの世界から離れていますが、自分のお店を出そうと計画中です。
1杯目はどうされますか?
水割りを。
ジョニ黒(ジョニーウォーカー黒ラベル)で。
決まってんるですか?いつも?
ジョニ黒好きなんですよ。
バーテンダーの方の一杯目はハイボールが多いような気がしますが。
だいたいハイボールを飲む方が多いですね。
実際、バーテンダーの人がバーに行って飲むときって、気を遣うんですよ。だからハイボールが多い傾向なんです。
けれど、プライベートのときはそうじゃないですね。
バーテンダーという仕事について
バーテンダーの方は勉強で他のお店に行かれますが、どういうところを見るんですか?
見るときはお酒の分量とかは勿論ですけど、まあ「味」ですね。あと作っている所作だったり仕草だったり。
勉強をしに行くって言っても、最初の方って何が勉強になるのかわからないじゃないですか。まず疑問がないので疑問を作りに行くことが勉強になるんです。
簡単に言うと「見て盗め」だけど、見てるだけじゃわからないし、ひとつのお店だけを見ているだけだったら同じことやってるから疑問も出ないじゃないですか。だけど違うお店を見に行くことによって違いが出てくるんですよね。「じゃあなんで?」っていう疑問が出てくるんで、自分で疑問を見つけないといけないし、自分でそうやって気づけるところは気づかないといけない。
観察力が大事ですね。
そうですね。常に疑問を持つことが大事ですね。
常に「なんでだろう」を持っている人はすごく成長が早いです。
そう思えるようになったのは、やっぱりガスライトでの修業からですか?
そうですね。
ガスライト | |
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所在地 | 東京都千代田区霞ヶ関3-3-3 全日通霞ヶ関ビル1F |
TEL | |
営業時間 | 月~金18:00~27:00 / 土17:00~23:00 |
星の数ほどバーがあると言われる銀座の中で、バー好きならだれもが知っているバー。
ガスライトの修業では辛いこともたくさんあったと思いますが。
やっていることになんでも間違いはないと思うんですよね。
「自分はバーテンダーに合わないな」
「この店に合わないな」
「あー言っていること理不尽だよな」
などと思っていても、理不尽と思える自分が訓練だったりします。そうすると
「じゃあ自分はどうする」
「じゃあ自分はどうしたらこうなったの?」
っていう疑問ができるわけです。常に「自分はどうしたいのか」っていう疑問を持って修行をする。
正直長くいたもん勝ちなんですよ。なんにしても。勤めると思ったら、もうずっと勤める。
バーテンダーとしての技術としてはもちろんですが、人間性の部分もガスライトで学ばれたんですか?
そうですね。
どこのお店も同じですが、技術云々より、本当に何を培ってほしいのかなと考えたら、やはり人間性です。
バーテンダーというお仕事は、正直おいしいお酒を作ることに越したことはないんですけど、それ以上に「人間」に会いに来るっていうところが醍醐味だと思うんですね。
「坂井さんとの会話が楽しかった。また会いに行こう」ってなるのはやっぱり人間力。そこが強いバーテンダーっていうのは、やっぱり良いお店を作るんだろうなと思います。
心理学ではないですが、「なぜ人はお酒を飲むのか」。お酒を飲むときはいろんなシチュエーションがありますが、そのときに味は求めません。
正直お酒って何でも良いってわけじゃないですけど、二の次じゃないですか。でもそんないろんなシチュエーションのときに浮かぶのは人の顔なんですよね。
「あーちょっとあの人に相談してみようかな」とか、
「今日は気持ちが良い。よし、あいつに会いに行こう」
「あいつに連絡してみよう」
つまり、『お酒はだれと飲むか』が大事なんです。
バーであればお店を構えている以上、お店が開いていればバーテンダーさんがいるわけだから。そうすると優先的に出てきますよね。「あのバーテンダーさんに会いに行こうかな」と。
バーテンダーは心のお医者さんのような気がしますね。
よく言いますもんね。真夜中の牧師とか。
2杯目はどうされますか?
ブランカモーニ(フェルネットブランカモーニ)
初めて聞くカクテルです。
フェルネットブランカっていう苦い薬草のリキュールがあるんですが、それをスプモーニみたいにグレープフルーツとトニックで。東京にいたときによく飲んでいたカクテルです。
最後にバーテンダーという職業について教えていただけますか?
バーテンダーはホテルのサービスマンとは違って分担制ではありません。
「お客様がいらっしゃる、お出迎えをする、席にご案内する、おしぼりを渡す、メニューを渡す、ドリンクを作る、接客をする、お話をする、お会計をして、お見送りをする。」
という全部をサービスします。つまり全部ができるサービスマンなんですよね。
バーテンダーっていうのは全部をしないといけないし、かつ商品も作らないといけない。技術面もあれば、サービス面もある。だからこそ技術だけでなく、観察力や人間性も磨いていかないといけません。
バーではトータル力が求められますね。
そうですね。だからこそ働いている僕らもおもしろいし、奥が深い。
いろんなお客様がいらっしゃるので、何が正解かもないし、だからこそ瞬時に判断する能力っていうのも鍛えられます。
たとえばホワイトレディ(カクテルの名前)。この人に出すホワイトレディとあの人に出すホワイトレディでも、同じものを出せばいいのかっていうと違いますし、酔っ払っている人にまともに作ってしまうときついだろうなとも思います。
まずは観察することから始まります。技術屋としての楽しみもありますね。
本日はありがとうございました。
最後は七島マスターのギムレットで。
マスターの七島啓(82歳)さんは、多くのバーテンダーを輩出した名バーテンダー。82歳の今なおシェーカーを振り続けるのは、バーを愛してやまないからでしょうか。
「七島さんと言えばギムレット」と言われるそうです。名バーテンダーのこのギムレットを、ぜひ一度飲んでいただきたいです。
取材を終えて
バーテンダーという職業はただお酒を作るだけではありません。
嬉しいときや辛いとき、だれかに話を聞いてもらいたいときにもバーテンダーは味方になってくれます。それこそ牧師のように。
それを可能にするのは、観察力、そして人間性を磨く努力を惜しまないから。
今回の取材で、バーテンダーとしての心意気を知ることができました。
中洲にはニッカバー七島で修業された方のお店がたくさんあります。
バーに行ったことがない人も、まずはニッカバー七島でバーの世界に入ってみてはいかがでしょうか?